ミソ医院 · 診療コラム

XERF の EFFECTOR 4種 — チップが変わると何が変わるのか

“大きいチップのほうが深く入るのですか”、“小さいチップのほうが強いのですか” — カウンセリングでよく出る質問です。 二つの質問の答えが互いに違う方向だということが、この記事の要点です。 小さいチップでは電流が狭いところに集まってより強く温まり深さはむしろ大きいチップのほうが深いというのが、物理の原理と他分野の実測が指し示す方向です。 ただしここで止まらなければなりません — ヒトの皮膚でチップの大きさごとに深さを実際に測った研究を、私どもは見つけられませんでしたし、 チップの大きさを比較した唯一のヒト対象の研究は二つのチップのあいだに統計的な差を示せませんでした。 それにもかかわらず、その論文の結論の文章は差があるかのように書かれています。

診療コラム 読了目安 約13分 2026年9月 大邱ミソ医院 · 院長 李治学(イ・チハク)

まず結論

チップが小さければ強くなり、チップが大きければ深くなります — 二つの文章は矛盾ではなく、互いに違うことを述べています。 同じ電流が流れるとき、電極の面積が小さいほど電流密度が高くなり、組織の温度上昇は電流密度の二乗に比例します。ですから狭いチップは狭いところをより強く温めます。逆に深さは電極が大きいほど深いというのが、物理の記述と他の臨床分野の実測が指し示す方向です — 心臓の施術では8 mm 電極が 4 mm 電極より深い病変を作り、ペインクリニックでは針を 22G から 16G へ太くすると病変の幅が 58–65% 増えました。 ただしここで三つをはっきりさせておく必要があります。第一に、この関係は無条件ではありません — 出力が固定された条件では大きい電極のほうが深くならなかった実験もあります。第二に、ヒトの皮膚でチップの面積ごとの深さを実測した研究を、私どもは見つけられませんでした。 第三に、チップの大きさを比較した唯一のヒト対象の研究では、二つのチップのあいだの差が統計的に有意ではありませんでした(p=0.845) — それなのにその論文の結論の文章は差があるかのように書かれています。ですから実際の診療でチップを選ぶ基準は“何ミリメートルまで入るのか”ではなく“この部位にこのチップが均一に当たるか”です。

まず確かなこと — 狭いほど強くなる

この部分は美容施術の話ではなく電気手術の基本原理であり、教科書の水準で確立しています。

高周波は光ではなく電流です。同じ量の電流が流れるとき、通過する面積が狭ければ電流密度が上がります。そして組織の温度上昇は電流密度の二乗に比例します — 密度が二倍になれば発熱は四倍になります。

同じ原理が使われているところ
電極面積結果
手術用の切開電極針 · フックの形にとがらせる電流密度を最大に上げて切る
止血用の電極平たく広く電流密度を下げてゆっくり温め固める
体に貼る回帰パッドとても広く電流密度がきわめて低くなりその場所は熱くならない

XERF の施術のときに背中や体に貼るパッドがなぜあれほど大きいのかが、ここで説明されます。そのパッドには顔に当たるチップとまったく同じ大きさの電流が流れます。 それでも熱くならない理由は、面積が数十倍広く電流密度が底まで落ちるからです。チップが小さいほど強くなるという原理と、正確に同じ話の裏面です。

ですから“小さいチップのほうが強いのですか”という質問には同じ条件であればそうですとお答えできます。ただし実際の機器はチップごとに出力を面積に合わせて調整するので、“小さいチップ = 無条件に強い施術”にはつながりません。

深さはどちらが深いのか

ここで通説がしばしばひっくり返ります。小さいチップが強く温めるのだから深さも深いように思えますが、文献が指し示す方向は逆です。

“大きい電極のほうが深い”を支持する資料
資料比較結果
心臓のカテーテルアブレーション(1998)8 mm 対 4 mm の電極すべての条件で 8 mm のほうが深い病変 — 論文の題そのものが“なぜ大きい電極がより深い病変を作るのか”
ペインクリニックの高周波(2014)22G 対 16G の針80°C · 2分の条件で病変の幅が 58–65% 増加
物理の記述電極の半径浸透の深さが電極の半径に比例するという記述 — いくつもの美容高周波の文献がこの前提を使います
反例(2009)同じ 8 mm 対 4 mm体外 · 温度制御の条件では 8 mm のほうが深くならなかった

最後の行が重要です。“大きい電極 = より深い”は条件つきの命題です。大きい電極が深い理由として提示された機序は二つ — 接触面積が広く、電流がより広く深く広がること、そして電極のほうがよく冷えて表面が焼けないあいだに内側に熱が溜まることです。出力が固定されていて二つ目の機序が働かなければ、この関係は成り立ちません。

ここが私どもの止まる地点です。 上の実測は心筋と神経の周囲で針 · カテーテル電極によって得られた値であり、顔の皮膚に平面のチップを当てる状況と同じではありません。広く引用される“浸透の深さ = 電極の半径の約 1/3”という公式も元の導出過程を明らかにした一次出典を私どもは見つけられませんでしたし、その公式が言う“深さ”は臨床効果が届く深さではなく発熱量が一定の割合まで減る距離です。ですから私どもはチップごとに何ミリメートルという数字をこの記事に書きません。 計算して書くことはできますが、それは根拠ではなく算数です。

ヒトの皮膚ではまだ測られていません

驚かれるかもしれない事実を記します。チップの面積ごとにヒトの皮膚の深さや温度を実際に測定して比較した研究を、私どもは一編も見つけられませんでした。

  • もっとも長く売れてきたモノポーラ機器である Thermage の系統でも、チップの面積(0.25 · 1.0 · 1.5 · 3.0 cm²)のあいだを比較した研究が確認されません。
  • 製造販売元の技術マニュアルでさえ、チップの大きさと加熱の深さの関係を記述していません。
  • XERF の数値シミュレーションの研究もチップを一種類しか使っておらず、チップの大きさの影響は扱っていません — その研究が扱った変数は周波数でした。

つまり“このチップはどこまで入る”という説明は実測ではなく物理モデルから引いてきた推定です。推定が間違っているという意味ではなく、確認された事実と区別してお聞きになる必要があるという意味です。

チップの大きさを比較した唯一のヒト研究 — そしてその結論の文章

ちょうど一編あります。別の会社のモノポーラ機器で行われた研究です。

チップの面積の半顔分割比較研究(2024)
項目内容
デザイン顔の片側は 3 cm² のチップ、もう片側は 4 cm² のチップ、無作為に割り付け
対象31名(女28 · 男3)、29–75歳、施術1回、3か月の追跡
照射量両側とも300ショット、面積あたりのエネルギーは 16.4 対 16.6 J/cm² — ほぼ同じです
著者らの結論“小さいチップは上顔面のしわに、大きいチップは下顔面のたるみにより良い”
ところが実際の統計二つのチップのあいだの差は有意ではありませんでした — p=0.845

この部分は注意して読む必要があります。 論文に出てくる p<0.001 は“小さいチップのほうが大きいチップより良い”ではなく“小さいチップで治療した部位が治療前より良くなった”です。治療前後の比較と二つのチップの比較は違う問いです。二つのチップを突き合わせた値は p=0.845 で、差があるとは言えない水準です。 それなのに論文の結論の文章は差があるかのように書かれています。

したがって“研究で小さいチップが目もとにより効果的だと立証された”という言い方は、この論文ではできません。 正確な記述は — “そのような傾向は観察されたが、統計的には区別されなかった”です。しかもこの研究は温度も深さも測っておらず、しわのスコアだけを評価しました。

XERF のチップ四種

XERF のハンドピース4種 — 製造販売元の公開仕様
ハンドピース表記の面積最大ショット主に使う部位
XERF i055 × 10 mm400ショット狭く薄い部位
XERF i1010 × 10 mm300ショット小さく曲面の多い部位
EFFECTOR E4020 × 20 mm600ショット全体の部位
EFFECTOR E6020 × 30 mm600ショット広く厚い部位

ここで私どもが確認した不一致をひとつ、そのまま記しておきます。

米国 FDA に提出された要約書の電極パターンの寸法は、上の表と異なります。 要約書は 60 チップを27.6 × 17.6 mm、40 チップを 17.6 × 17.6 mm、10 チップを 9 × 9 mm、05 チップを 9 × 4.5 mm と記しています。ヒト対象の論文もまた E60 を 27.6 × 17.6 mm(約 4.86 cm²)と記載します。マーケティング表記(20 × 30 mm = 6.0 cm²)と約20%の差があります。外形の寸法と実際に電流が流れるパターンの寸法が違うためと見えますが、どちらが実際の通電面積なのかを私どもは確認できませんでした。 ですから上の表の数値は“製造販売元の表記基準”としてのみお読みください。

表で本当に注目していただきたいのは面積ではなく最大ショット数がチップごとに違うという点です。これが次の編の主題です。

チップが変われば‘同じ300ショット’が同じではありません

ショット数は施術量を表す慣行的な単位です。ところがチップが違えば同じ数字がまったく違う量になります。

同じ300ショットの名目上の処理面積
チップ300ショットの名目面積備考
3 cm²900 cm²基準
4 cm²1,200 cm²33%広い
0.25 cm²(目もと専用)75 cm²約 1/12

表の数字はチップの面積 × ショット数で私どもが計算した名目値であり、重ねて照射する分は考慮していません。それでも方向ははっきりしています — “何ショット”という数字は、チップを併せて言わなければ意味が完成しません。 続く話は何ショット受けるべきかにあります。

“小さいチップのほうが痛いのですか”

お答えできる資料がありません。チップの面積を変数として痛みを比較した研究を、私どもは見つけられませんでした。 上の半顔分割の研究も痛みは測定しましたが、チップごとに分けて報告していません。

参考までに、単一のチップの条件で報告された痛みは研究ごとに大きく異なります — XERF のヒト研究では無麻酔で10点満点中 4–5点、別の研究では0.61点、初期の Thermage のプロトコルでは6点でした。この差はチップの大きさより出力の設定とプロトコルの違いである可能性が高いです。

診療で私どもが使う基準は単純です。施術中に“熱い”と感じられたら我慢なさらず、すぐにおっしゃってください。 その合図が出力を調節する基準です。痛みは耐えるべき不快さではなく安全の合図です — 詳しい話は高周波施術後の注意事項に記してあります。

チップよりも大きく左右するもの

チップの話を長くしましたが、熱がどこにどれだけ入るのかを決める要因のうちチップの大きさはもっとも大きいものではありません。

熱分布を決める要因と、分かっている程度
要因影響根拠の水準
温度(出力)60°C から 90°C に上げると病変の幅が 108–152% 増加定量的に確立 — もっとも大きい
照射の時間1分から3分に延ばすと 23–32% 増加定量的に確立 — 温度より小さい
表面の冷却表面を冷やして内側のほうが熱い状態を作ることが、この施術の中心的な設計役割は確立、機器ごとに値が違う
組織のインピーダンス温まると抵抗が1度あたり約2%ずつ下がる — 人によって違う理由定量的な関係あり
周波数深さではなく組織のあいだのどこへ電流が偏るかを変えるモデリング + 動物
チップの面積電流密度と接触の範囲を変えるヒトの実測なし
押す圧力 · 接触の状態影響はあると見えるが定量的な資料を見つけられず

温度と時間の関係は、この施術の性格を変えてしまいます。コラーゲンは何度に到達したかだけでなく、その温度にどれだけとどまったかによって変わります — 実測では皮膚のコラーゲンは 70°C で16秒で変性の指標が半分まで落ちましたが、55°C では2時間で25%、50°C では2時間で2%しか変わりませんでした。この話はモノポーラとバイポーラに詳しく記してあります。

では診療では何を見て選ぶのか

結局、チップ選択の実際の基準は深さの数字ではなく接触です。

  • 狭いところに広いチップを当てると接触が浮きます。 浮いたところでは電流が均一に流れません。
  • 広い面を小さいチップだけでなぞると照射が均一にならず、同じ面積を覆うのにはるかに多くの時間がかかります。
  • 曲面の強い部位、骨の上を薄く通る部位、目の周囲のように構造が異なる部位は同じチップでは処理できません。

チップが複数ある理由は“深さを選び分けるため”というより“顔が平面ではないから”に近いものです。 私どもが資料で言える範囲では、そうです。

まとめ

確認できたことと、確認できなかったこと
確認できたこと確認できなかったこと
面積が小さいほど電流密度が高く、温度上昇はその二乗に比例ヒトの皮膚でのチップ面積ごとの深さ · 温度の実測
回帰パッドが広いのも同じ原理“深さ = 電極の半径の 1/3”という公式の一次出典
他分野の実測は“大きい電極のほうが深い”を支持その関係が顔の平面チップにも成り立つのか
唯一のヒトのチップ比較研究が存在することその研究における二つのチップの統計的な差 — ありませんでした
XERF のチップ4種の製造販売元の表記仕様実際の通電面積 — 表記が資料ごとに異なります
温度 · 時間 · 冷却の影響チップの大きさと痛みの関係

よくあるご質問

大きいチップで行えば、より深く入るのですか?

物理の原理と他の臨床分野の実測はその方向を支持します。 ただしヒトの皮膚でチップの大きさごとの深さを実際に測った研究はありません。 そして出力が固定された条件では大きい電極のほうが深くならなかった実験もあり、無条件の関係ではありません。私どもが“このチップは何 mm まで”と数字を書かない理由です。

小さいチップのほうが強い施術なのですか?

同じ電流であれば狭い面積に集まるので、その場所はより強く温まります。 温度上昇は電流密度の二乗に比例します。ただし実際の機器はチップの面積に合わせて出力を調整するので、小さいチップを使ったからといって施術全体が強くなるわけではありません。

体に貼るパッドはなぜあれほど大きいのですか?

チップとまったく同じ大きさの電流がそのパッドへ戻るからです。面積が数十倍広くなければ電流密度が十分に下がらず、その場所が熱くなってしまいます。チップが小さいほど強くなるという原理と同じ話の裏面です。ですからパッドがきちんと貼りついているかも安全に重要です。

目もとには小さいチップのほうが良いと聞きました。

そう書かれた論文がありますが、その論文で二つのチップの差は統計的に有意ではありませんでした(p=0.845)。 論文のなかの p<0.001 は“治療前より良くなった”であって“他のチップより良い”ではありません。目の周囲に小さいチップを使う実際の理由はその場所に大きいチップが均一に当たらないからに近いものです。

チップの大きさが違えば痛みの程度も違うのですか?

お答えできる資料がありません。 チップの面積を変数として痛みを比較した研究を見つけられませんでした。報告された痛みは研究ごとに10点満点で 0.6点から6点まで大きく異なりますが、この差はチップより出力の設定とプロトコルから来ていると見えます。

XERF のチップの規格が資料ごとに違うようですが?

そのとおりです。製造販売元の表記では E60 が 20 × 30 mm ですが、米国 FDA 提出の要約書と論文は 27.6 × 17.6 mm と記します。 外形の寸法と電流が流れるパターンの寸法の違いと見えますが、どちらが実際の通電面積なのかを私どもは確認できませんでした。 ですからこの記事の数値は製造販売元の表記基準です。

では、どのチップでしてほしいと頼めばよいのですか?

部位によって決まる問題なので、あらかじめお選びになる性質のものではありません。狭く曲面の多いところに広いチップを当てると接触が浮き、広い面を小さいチップだけでなぞると均一になりません。 ただし“今日はどのチップでどこをなさいますか”とお尋ねになるのは良い質問です。

大きいチップひとつで顔全体を行ってはいけないのですか?

物理的に当たらない場所ができます。顔は平面ではないので目の周囲 · 小鼻のわき · フェイスラインの下のように曲面の強いところは広いチップが浮きます。浮いたところでは電流が均一に流れないため、照射が均一でなくなります。

結局、チップの話はあまり重要ではないということですか?

重要ですがもっとも重要なものではありません。 熱がどこにどれだけ入るのかを決める要因のうち、定量的にもっとも大きく確認されているのは温度(出力)であり、その次が時間で、冷却が表面を守ります。チップの大きさはその次の位置であり、ヒトの実測がない項目です。

作成した医療機関

この記事は大邱ミソ医院院長李治学が作成 · 監修しました。本文に引用した研究は設計と規模、そして著者が明らかにした限界を併せて記しており、資料を見つけられなかった項目は見つけられなかったと記しました。

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院長李治学
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参考資料

  1. 電流密度と電極の面積 — 確立した原理 — Li AA, Zhou MJ, Hwang JH. Understanding the Principles of Electrosurgery for Endoscopic Surgery and Third Space Endoscopy. Gastrointestinal Endoscopy Clinics of North America 2023;33(1):29–40, DOI 10.1016/j.giec.2022.07.001(全文確認)。“temperature in tissue rises as a square of the current density”、回帰パッドについて “Because the surface area of the pad is orders of magnitude larger than the active device, the current density is extremely low at the pad site.” / El-Sayed MM, Saridogan E. Principles and safe use of electrosurgery in minimally invasive surgery. Gynecology and Pelvic Medicine 2021;4:6, DOI 10.21037/gpm-2020-pfd-10(全文確認) — 切開用の電極はとがらせ、凝固用の電極は広く。
  2. “大きい電極のほうが深い” — 他分野の直接の実測 — Otomo K, Yamanashi WS, Tondo C ら。Why a large tip electrode makes a deeper radiofrequency lesion: effects of increase in electrode cooling and electrode-tissue interface area. Journal of Cardiovascular Electrophysiology 1998;9(1):47–54, PMID 9475577(抄録確認)。イヌの大腿筋 + 灌流モデル、8 mm 電極が 4 mm 電極よりすべての条件で有意に深い病変、機序は対流冷却の増加 + 接触面積の増加。 / Cosman ER Jr, Dolensky JR, Hoffman RA. Factors that affect radiofrequency heat lesion size. Pain Medicine 2014;15(12):2020–2036, PMID 25312825(全文確認)。22G → 16G に太くすると 80°C · 2分で病変の幅が 58–65%(3–4 mm)増加、温度 60 → 90°C は108–152% 増加、時間 1 → 3分は 23–32% 増加。
  3. 反例 — Linhart M, Mollnau H, Bitzen A ら。In vitro comparison of platinum–iridium and gold tip electrodes: lesion depth in 4 mm, 8 mm, and irrigated-tip radiofrequency ablation catheters. Europace 2009;11(5):565–570, PMID 19251707(抄録 · 数値確認)。肝組織で4 mm 4.67 ± 1.7 mm 対 8 mm 3.98 ± 1.0 mm大きい電極のほうが深くならなかった。血流による対流冷却のない体外 · 温度制御の条件。この反例のため“大きい電極 = より深い”を無条件に使うことはできません。
  4. “深さ = 電極の半径の約 1/3”の出典の問題 — Kreindel M, Mulholland S. The Basic Science of Radiofrequency-Based Devices, IntechOpen 2021, DOI 10.5772/intechopen.96652(全文確認)の d = 0.28 r₀導出の過程なく“It is easy to calculate”とだけ提示されており、元の出典を私どもは逆にたどれませんでした。著者は高周波機器の業界の所属です。 ここで言う“浸透の深さ”は発熱量が 1/e に減る特性距離であって、臨床効果が届く深さではありません。同じ数値を前提として使う臨床文献 — Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology 2024;17(2):20–22 の “RF energy penetration depth is about one third of electrode radius”
  5. チップの面積を比較した唯一のヒト研究 — Yang YS, Kim DH, Ha JH ら。A Split-face Study on Rejuvenation Efficacy According to Monopolar Radiofrequency Tip Size. Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology 2024;17(2):20–22, PMID 38444428(全文確認)。Volnewmer(Classys)、3 cm² 対 4 cm² の半顔分割無作為、31名(女28 · 男3)、29–75歳、各300ショット、16.4 対 16.6 J/cm²、表面 12–14°C の水冷、3か月の追跡。 著者の結論は“小さいチップは上顔面、大きいチップは下顔面”ですが、本文に記された二つのチップ間の比較値は p=0.845 で有意ではありません。 有意だった p<0.001 は治療前後の比較です。温度 · 深さは測定しておらず、しわのスコアだけを評価しました。有害事象 — 4 cm² の額の部位に軽度の紅斑性の熱傷1件(1週間以内に消失)。著者らが明らかにした限界 — 小標本、幅広い年齢分布、3か月という短い追跡。本文に 16-19kJ/cm²16.4 J/cm² が併記された単位の誤記があるため、総エネルギーの数値はこの論文から引用しませんでした。
  6. Thermage のチップ規格 — Chilukuri S, Lupton J. “Deep Heating” Noninvasive Skin Tightening Devices: Review of Effectiveness and Patient Satisfaction. Journal of Drugs in Dermatology 2017;16(12):1262–1266(全文確認)。チップは0.25 · 1.0 · 1.5 · 3.0 cm²、真皮を 65–75°C に温めて表皮は 40°C を維持、痛みの管理なしで10点中6点チップの面積のあいだを比較した研究を私どもは見つけられず、製造販売元の技術マニュアルもチップの大きさと加熱の深さの関係を記述していません。
  7. XERF のチップ仕様と規格の不一致 — 製造販売元の公開仕様は XERF i05 5 × 10 mm(400ショット) · i10 10 × 10 mm(300ショット) · EFFECTOR E40 20 × 20 mm(600ショット) · E60 20 × 30 mm(600ショット)。米国 FDA 510(k) K251327 の要約書の電極パターンの寸法は 60 Tip 27.6 × 17.6 mm · 40 Tip 17.6 × 17.6 mm · 10 Tip 9 × 9 mm · 05 Tip 9 × 4.5 mm と異なり、ヒト対象の論文(Medical Lasers 2025;14(1):23–30)も E60 を 27.6 × 17.6 mm(4.86 cm²)と記載します。どちらが実際の通電面積なのか確認できませんでした。 XERF に関連する数値シミュレーションの研究(Lasers in Medical Science 2025;40:501)はチップを 20 × 30 mm 一種類のみ使用し、変数は周波数でした。
  8. 冷却とインピーダンス — 表面温度の実測値は機器ごとに違います — Thermage の系統は真皮 65–75°C / 表皮 40°C、Volnewmer は表面 12–14°C、XERF の前臨床は表面 42–45°C 未満。インピーダンスは加熱時に約 2%/°C 減少し、100°C 付近では脱水により急増します(Kreindel 2021)。電力の関係式 E(J) = I² × z × t — Shin JM, Kim JE. Radiofrequency in Clinical Dermatology. Medical Lasers 2013;2(2):49–57, DOI 10.25289/ML.2013.2.2.49(全文確認)。
  9. 温度 × 時間Cellular and Molecular Bioengineering 2021, DOI 10.1007/s12195-020-00653-w. 皮膚のコラーゲンの波状のコントラストが半分に減るまで70°C 16秒 · 65°C 90秒 · 60°C 110秒55°C は2時間で25% · 50°C は2時間で2%。詳しい内容はモノポーラとバイポーラにあります。
  10. 痛みの参考値 — XERF のヒト研究(Medical Lasers 2025;14(1))は無麻酔で VAS 4–5点 / JCAD 2024 は平均 0.61点 · 無痛 54.8% / JDD 2017 の初期 Thermage プロトコルは6点。チップの面積と痛みの関係を見た資料はありません。 押す圧力 · 接触の均一さの定量的な影響も確認できませんでした。
  11. 私どもが確認できなかったこと — ①ヒトの皮膚でのチップ面積ごとの深さ · 温度の実測 ②“電極の半径の 1/3”という公式の一次の導出出典 ③Thermage のチップ面積間の比較研究 ④チップの面積と痛み ⑤圧力 · 接触の状態の定量的な影響 ⑥XERF の各チップの実際の通電面積と個別出力(W) ⑦平面の四角いチップに球形電極の公式を適用できるのかについての検証。
  12. 続く記事 — 何ショット受けるべきかXERF の根拠はどこまで来たかモノポーラとバイポーラ高周波3種の比較

本コラムのすべての記事は一般的な情報を提供するためのものであり、医学的な診断や治療に代わるものではありません。施術の効果と副作用は個人の皮膚状態、年齢、基礎疾患によって異なって現れることがあり、すべての人に同一の結果を保証するものではありません。施術を受けるかどうかは必ず医療者との対面相談を通じてお決めください。

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